2010年8月6日金曜日

複視用ヘッドマウントディスプレイ

プリズムの入ったメガネを掛けて3週間ほど経ちますが、見る角度でレンズの歪みや像の鮮明度が変わるので少々慣れるのに時間がかかりました。コーヒーを飲むときや自分の汗でレンズが曇ることにも閉口します。メガネを掛けないほうが如何に自然か...を実感。


前回ヘッドマウントディスプレイについて触れましたが、ここ十年ほどで随分様変わりしたようでインターネットで調べると単眼、両眼タイプのものから光学式、網膜直接投影タイプと製品も多様化してきています。もっぱら売りは3D映画鑑賞、ゲーム用やコンピュータ画面を片方の目で見ながら作業するような作業に限定されています。

両眼タイプ(AR Vision)

単眼タイプで網膜直接投影(ブラザー社製)

  網膜に直接投影するタイプは遠視、近視の人でも鮮明な映像を知覚できるので断然こちらのタイプがモアベター。でも単眼式のHMDHead Mounted Display以下省略してHMDと記述します)しか見当たりません。技術的に難しいのと高価になりますから。

私の考えているHMDはディスプレイの前面に薄くて小型(携帯のCCDカメラのような)のカメラを複眼状に配列し、通常の視野の120から150%を確保する。複眼CCDカメラの方が薄くてレンズの歪みを最小に出来ます。それから得られる映像をコンピュータで処理してHMDのディスプレイに左右別々の映像として投影し、複視のズレを補正しようというもの。将来的にはコンピュータもウェアラブルなものにして携帯電話並のコントローラーにしようと考えています。


今現在、試作機の設計とハード、ソフトの開発準備をしています。最初は安いウエブカメラ、数万円の3DHMD(左右別々の映像を表示できないと意味がありません)、ビデオキャプチャを組み合わせてやってみる予定です。これができると視野は限定されますがテレビを見たりコンピュータで作業する上で、複視・斜視患者の障害は十分改善されると思います。


手術でしか治せない上下斜筋のバランスの崩れから生じる回転ずれに対し、特に有効であると期待されます。CGの技術を利用すれば画像を移動・回転・スケーリングするのはお手の物。

斜視、複視によるハンデを軽減し、更にこのHMDを着けていれば人間の視覚能力を拡張できるようにしたい。病状によるハンデ以上に別な能力を付加できれば社会生活にプラスに働くでしょう。CCDカメラを換えるだけで顕微鏡映像を見たり、暗視できるとか、魚眼レンズのように広い視野を見ることが出来るといったことも可能になります。工夫すれば正視で360度見渡せたり、もちろん3D映画を楽しむことも出来ます。仮想現実の可能性が現実に活かせる訳です。

次回から試作過程や発見する利点、問題点を紹介していこうと思います。