まず左右のズレをどのように計ったかというと、頭を傾けず真っ直ぐ前方を見つめ、水平・垂直線が左右の目に映る像でどのくらいずれるかを比較。なるべく遠くの建物や視野全体に広がった対象物で大きさのわかっている物の縦横の線を測定基準にしました - そのほうが計測する上で誤差が小さくなると考えたからです。
①病院の前の道路(4車線)の反対側にある二階建てのビルのズレを目測。
水平距離にして20mはなれた2階建てビルが丁度、3階建てに見え、水平線が時計回りに10度ほど回転しているように見えました。
遠くに行くほど縦のズレが比例して増加するのに対し水平線の回転ズレは一定でした。また横方向のズレはほとんどありませんでした。
②立った状態で足元を見て自分の足や床のタイル目地のラインがどう見えるかを観察。
右目で見える像に対する左目のそれは、1.5mの高さから自分の足を見ると縦方向に20cmほどズレて見え、30cm角のタイル目地は横3枚分に対し左端で15cmほど縦方向に、時計回りに回転してみえた。
③手を目の前に伸ばしてどのくらいズレて見えるかを目測。
手と目の距離はおよそ60cmで、右目で見える手が左目では10cmほど縦方向にずれて見えていた。
④病室の回縁(天井と壁の交じわった境界線、長さが3mほど)の傾きを目測。
視野の右端はズレず、左目の像では左端だけ上方向に45cmほどにずれ、右目では逆に10cmほど下がって見えた。
①から④を三角関数を利用して計算すると上図(視野の横方向をX軸、縦方向をY軸、視線の方向をZ軸)のような結果になりました。
この結果からわかることは、右目がZ軸回りに反時計回りに2度ほどズレ、縦横のずれは無視できるほどの値。
一方、左目はX軸、Z軸回りに9度くらいズレていたのです。つまり左目の視線が少し左下方向に下がって斜視の状態になっていたことになります。外見上、黒目の位置がずれて見えるほどではなくても複視になるには十分なズレを起こしていたわけです。
整理すると、私の目は下の図のようになっていたと考えられます。
注)3次元軸のずれる方向は網膜像で見えるズレの方向と逆になることに注意してください。
X軸回りのズレは縦方向に物がダブって見え、Y軸回りのそれは横方向に、Z軸回りでは斜めに傾いて見えるということです。
この結果から目の筋肉がどのような状態になると視野の座標軸が上図のようにズレるかを考えました。
次回に続く...。