2010年7月22日木曜日

複視用矯正メガネ

 やっと待望のメガネが出来て掛けて見ました。

 なんと目前の木々の奥行きがはっきり見えることでしょう...。手前の葉が後ろの葉から浮き出て見えることに感動。正常な目では視差を正しく処理して立体視できるのですが今まで複視のズレでそれが機能していなかったわけです。まるで初めて3D映画を見たときのような驚き。複視になると遠近感が失われることは理屈で分かっていても、ここ8ヶ月以上も2Dの世界にいたことを痛感。

 手元の距離の細かい作業もズレずによく見えるし遠近感が戻ったのでコンピュータの細かい部品の組み立てや結線も難なく行えた。数十分もかかった作業が数十秒でクリアー。かなりうれしいですね。掛けているメガネには、2度のズレを補正する偏光レンズが組み込まれているので当然の結果なのですが、実際に体験してみると、事故以前では当たり前のことが出来て一々感動します。
 ただ問題は遠近両用メガネなので見る距離で少々見る角度を調整してやらないと良く見えないこと、見る方向を変えるとき遠近の複合レンズの境界付近で像が少々歪むことでしょうか。

 今までメガネを掛けたことがないのでお手入れの手間も増える。レンズが曇ったり、ちょっとしたホコリや汚れが気になる。目はその辺のことを無意識に処理してくれていることを考えると実に良く出来た自然の創造物です。

 このメガネで大部分、日常の視覚障害からくる負担は軽減するでしょう。

 しかし私の場合、回転ズレからくる問題は残ります。偏光レンズは縦横のズレには対応できますが網膜像が回転するズレには対応できません。以前述べましたが、上下斜筋のバランスが崩れていて水平線が左目で時計回りに、右目が反時計回りに数度回転した状態で知覚されるので、このズレを補正して両眼像が一致して知覚認識できるようにするにはもう一工夫する必要があります。

 そこで考えたのは複眼型CCDカメラ+GPU+ヘッド・マウント・ディスプレイを組み合わせたシステムを開発することです。これだと知覚する映像を自在に操作でき、ズレの大きい目の網膜に結像させて複視(網膜に直接結像できる方式をとれば近視、遠視にも対応できる-技術的に難度が高くなりますが)を解消できます。まだ設計段階に過ぎませんが、今ある先端技術を組み合わせて応用してやれば実現できると考えています。

 最初は焦点距離と限定された視野で、例えば複視、斜視患者がズレを補正したパソコンの仮想ディスプレイ上で問題なく作業できるようにすることからスタートしようと計画しています。そうすれば斜視、複視患者でもパソコンが不自由なく操作でき、テレビや読書を寝っころがりながらリラックスして楽しめるようになるでしょう。

 自作複(斜)視用電子メガネの試作第一号を早く紹介できるようになるといいですね。これを応用していくと人間の見えない視野領域を視たり(前をみながら後ろが見えるとか)、暗視ゴーグルのように可視光域以外の電磁波を可視化できます。当然インターネット画面を見ながら景色を眺めること、視野の一部に顕微鏡のような拡大映像を表示させたりと、近未来のメガネはどんどん進化していくことでしょう。視線とまばたきを組み合わせて目で絵を描いたりアプリケーションを操作することもできる。

 メガネの常識が大きく変わる時代に突入しているのです。

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